お口の中には3~400種類の細菌がいます。この中にむし歯菌(ミュータンス菌)がいます。
ミュータンス菌は食べ物から入った糖分を餌にして酸を出します。この酸によって硬いエナメル質のリンやカルシウムが溶けだして(脱灰)しまい、これが続くと穴が開いてしまいます。
1.だらだら食べない
細菌が食べ物の中に入っている糖分から酸を作りお口の中は酸性になってしまいますが、食後30分ぐらいで唾がお口の中を正常な中性に戻してくれます。
しかし、だらだらと糖分の多い物を飲んだり食べたりしてしまうと、お口の中は長い間酸にさらされ、歯が溶けてしまいます。時間を決めて規則正しく食事や間食をしましょう。
特に乳歯や萌えたての歯は歯の質が未熟で柔らかいので、特に気を付けてください。
2.口の中を清潔に保つ
むし歯の原因となるプラークを作り出さないように、しっかりと歯磨きをしましょう。
また、口で呼吸することで、口の中が乾いた状態になってしまいます。
そうなると、唾液によって食べかすが流れにくくなるため、細菌のエサが残りやすくなります。
口で息をしている方は、鼻で息をするように意識をしてください。
むし歯になりやすいところはプラークが残りやすいところ。それは「奥歯の噛む面の溝」「歯と歯の間」「歯と歯肉の境目」「抜けた歯の周り」です。これらの部分にしっかりと歯ブラシなどを当てることが重要です。また「歯と歯の間」はデンタルフロスや歯間ブラシなどの補助道具を使用してください。
年齢、歯の質、歯並び、歯磨きの苦手な部分など人それぞれ違いますので、ぜひ歯科医院に行っていただき、歯磨きの仕方を教えてもらってください。
プラークのつきやすい場所
奥歯の噛む面
歯と歯肉の境目
歯と歯の間
抜けた歯の周り
凸凹の歯並び
・乳歯が萌えるまで
生後4〜5か月くらいからお口の周りを触るなどから始めてください。
できれば清潔なガーゼなどで口の中を拭いてあげ、口の中に食べ物以外を入れることに慣れさせて、歯ブラシを入れる準備をしてください。
親や兄弟が楽しく歯磨きをしている姿を見せてあげることも良いでしょう。
・乳歯が萌えてきたら
一般的に7〜8か月くらいで歯が萌えてきます。
歯が萌えてきたら、清潔なガーゼで拭いてあげることから始め、徐々に歯ブラシに移行していってください。ただし無理に歯ブラシを入れようとすると、歯磨き嫌いになってしまうことも多いので、徐々に慣れさせてください。
卒乳するまでは上の前歯がむし歯になりやすいので、重点的に磨いてあげてください。
奥の歯が萌えてきたら噛む面の溝や歯と歯の間にも気を付けてください。
・永久歯が萌えてきたら
6歳くらいになると永久歯が萌えてきます。
前歯から萌える子や奥歯から萌える子など、個人差があります。
萌えたての永久歯は、歯の表面が出来上がっていないので酸に弱く、また形が複雑なので磨きにくく、むし歯になりやすい状態です。
特に6歳臼歯と呼ばれる奥歯は汚れが溜まりやすく磨きにくく、より気を付けて磨く必要があります。
・永久歯が萌えそろったら
12歳くらいになると6歳臼歯の後ろに12歳臼歯が萌えてきて、その歯が噛み合うと永久歯列の完成です。
永久歯は萌え変わることがないので、むし歯にならないようにしっかりと歯磨きをしましょう。
鏡を見て自分の口にあった歯ブラシの動かし方をすることが大切です。
一度削って詰めた歯は、詰め物をしていない歯と比べるとむし歯になりやすくなっていますので、むし歯にならない様にしましょう。
仕上げ磨きはいつまでするか?
小学校に入るくらいから仕上げ磨きをする頻度を徐々に減らし、自立してブラッシングができるようにしていきましょう。
初めはお子様が歯磨きをした後に確認して、磨き残しがある場所を教えてあげながら仕上げ磨きをし、次の段階として磨き残し部分を教えて、本人が磨く様にしていきましょう。
3.歯を強くする
フッ化物は歯そのものを強くし、酸に対する抵抗力を上げてくれます。
さらに細菌の活動を抑える力も持っています。
フッ化物は野菜や肉、海藻など私たちが食べたり飲んだりする様々な物の中に含まれているので、安全なものです。
乳歯が萌え始めた時期ぐらいから約3〜4か月に一度フッ化物を歯に塗布します。
歯の萌え始めに塗布することで効果を上げます。
この方法は市販のものより濃度が高いフッ化物を使用するので歯科医院で行われます。
現在市販の歯磨き粉の多くのものにはフッ化物が入っています。
歯磨き後のうがいをし過ぎると効果は下がってしまいますのでうがいは軽く済ませてください。
フッ化物を入れた水やフッ化物配合の洗口液でブクブクうがいをすることで、お口の中全体にフッ化物を行き渡らせます。
主に学校など集団に対して行われます。
当クリニックでは診察をさせていただいたお子様は3か月、大人は6か月に1回のタイミングでご希望の方に定期検診の案内を送っております。
定期検診ではお口の中をチェックし、むし歯はないか、プラークや歯石がついていないか、歯ぐきや骨に異常はないかなどを確認し、お口の中のお掃除をさせていただいたり、歯磨き指導や、歯並びの治療の時期などもご提案いたします。
その他、診せていただいた際に気になった箇所をお伝えし、今後のメインテナンスについて相談させていただきます。
むし歯は早く発見すれば小さく詰めるだけの治療や治療せずに済むこともありますので、痛みがなくても訪れてみてください。
©Nakaoka Pediatric Dentistry Clinic